橋本和彦『「3本線ノート」で驚くほど学力は伸びる』大和書房〔2008

橋本和彦『「3本線ノート」で驚くほど学力は伸びる』大和書房〔2008.3〕を読みました。

【1】一言紹介
  ノートの取り方の本だ。メモではない、ノートだ。ノートを勉強現場そのものとして扱おうという本だ。 

【2】感謝
  実にわかりやすい。子供の勉強に一部分を実践させてもらっている。

  サラリーマンである私にとてもわかりやすい。企業内の情報化の常道を想起させてくれる箇所が随所にあるからだ。例えば、企業の中では、コールセンターや障害情報を集積して再発防止ノウハウを抽出するようなことがよくある。イベントのデータからナレッジのデータベースを作るプロセスだ。このプロセスの考え方とよく似ているなあと思う。とても賛同できる本だ。  

 また随所に企業の中で行われている無駄取りやカイゼンの手法の根源にある考え方と近接したものを感じる。用語も「課題達成型」「問題解決型」といった用語はQCと親和的だ。考え方の中にもそんなところが窺える。例えば、ルーズリーフは間接業務の温床であるから無駄であり、駄目だという。鉛筆は「見える化」に反するから駄目だという。素晴らしい着眼であると思う。  

【3】メッセージ

 ノートの取り方に「3本線ノート」という方式を推奨されている。
 本論を私は下記のように理解した。
 (1)ノートは時間軸の順序で書いてゆくべきものだ。
    見開き左側を使って発生日と題目を明示し、記述すること。例えば板書内容とか例解。
 (2)見開き左側に記述された事象から得られたこと、知見を見開きの右側に書くこと。
 (3)これによってこの欄が独立する。自分が得た知見をはっきりと明らかにする。
 (4)復習のときには、この右側を通覧して観て行くことで理解が定着する。  
 (5)更に、ノートであるから、右から左をみれば、その知見の素になった実際の問題を解決した筋道がわかる。トレースできる。(企業でいうところのトレーサビリティだ)  

 (個人的には「もう一度その問題をやる」ケースではどうするかについては、考え中だ。大きめのポストイットを貼ることなどでどうだろうか?)

【4】組み立て

 本書では、算数、英語、理科など、実際の科目でそれぞれ、「3本線ノート」をどのように書くか、という実践的な解説をしてくれている。これが豊富なる事例にもとづいているらしく、実に説得力がある。

以上