吉田たかよし『不可能を可能にする最強の勉強法』PHP文庫〔2004.12〕


  勉強の仕方、読み方、書き方についての参考書です。方法の本というのは好きなので、つい読んでしまいます。勉強の仕方、読み方、書き方についてそれぞれ良いことが書いてありました。感謝したいと思います。


【1】要警戒;目的のすりかえ、自己満足

  目的をすりかえるな、は私には耳の痛い話でした。御指摘に感謝します。

  目的がいつのまにかすり替わっていて、まずいことに目的と関係ないことに自己満足してしまうという症状が書いてありますが、これはかなり自覚があります。ホントにそうです。

  「もともとは何かを学びとるために読書を始めたはずなのに、いつしか『何ページ読み終えたか』や『何冊、読破したか』ということに目的がすり替わってしまっているのです」(p.29)「読書はいくらページを稼ぎ上げても、自己満足以外には何も得られません」(p.29)


まことにその通り。この自己満足というやつは要警戒です。


【2】書き方と読み方 役に立つ御指摘

  
  さて本書が主張する書き方、読み方で具体的に役に立ったのは「連想チェーン記憶術」と「下見」でした。


  まず書き方。「連想チェーン記憶術」はたしか他でも似たような話題を読みましたが、「すべての文が、すでに出てきた概念に、新しく出てきた概念を後から付け加えるというパタン」の文であれば読みやすいという話。これはプレゼンにも、作文にもとても有効な方法です。あらためて努めることに致します。


  次に読み方。「読書の下見」はもっとすばらしい。人生は有限で、必要な情報は無限だ。読む必要があるとおぼしき本は溢れている、さあどうする、というときのための、ごく簡単な対策だ。「まず本をひと通りペラペラめくりながら、軽く全体に目を通すだけでよいのです」(p.189)「とりあえずすべての活字を一度は視野に入れられ」(p.190)る程度の速度だそうだ。斜め読みという感じだろうか。「何より大切なのは、それぞれの部分が相互にどう関係しているのか、大雑把に理解できることです。」(p.190)構造をまずおさえようということだ。そして、その後に「あなたにとって重要と思える部分だけを熟読すれば充分」(p.191)試験のときの時間配分と何か共通する。特に高校時代の「英文解釈」のテスト本番へのアプローチも似ていますね。


  何でもないようだが、これもなかなかできないんですよね。ついつい頭っから詳細に入ってしまう癖があります。

【3】余談

  余談ですが、本屋で立ち読みをすると頭が活性化するという自覚があるのです。これはひょっとしたら、立ち読みというのが、時間的制約の中で「下見」という重要な知的活動をしているゆえなのではないか?などと考えてしまいました。